佐藤克巳

女人哀愁の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

女人哀愁(1937年製作の映画)
5.0
山中貞雄と共に中国戦線に出征した小津安二郎「淑女は何を忘れたか」と同年に、成瀬巳喜男監督は本作で、小津のユーモアの籠った哀愁ある作風とは別方向の、哀感溢れる現実直視で人間を捉える作風を確立したのではないか?古風で生真面目な性格の銀座BG入江たか子は、いとこ佐伯秀男と良い関係だが、良家との見合いを受け入れ嫁入り。夫北沢彪は体裁に拘る冷厳な男、その父母御橋公、清川玉枝、女学生妹水上玲子、児童弟は入江を便利使いで自己本位。出戻り小姑妹澤蘭子が元夫大川平八郎との不和を家族に持ち込む。無理難題を抱えて入江は、実家母初瀬浪子を見舞うと、結婚前に佐伯の妹堤真佐子とダンスを踊った懐かしさに浸る。大川は会社の金を持ち逃げ、澤に逢いたいと入江に連絡。入江は、北沢が大川の居所を問い詰め、澤だけに教えた事を責め、離縁を決意。佐伯の社屋屋上で、入江は自立への模索を始める。
佐藤克巳

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