Fitzcarraldo

ショッカーのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

ショッカー(1989年製作の映画)
4.7
13日の金曜日という絶好のタイミングで【第8回 夏のホラー秘宝まつり2021】に参戦の2本目。

もともと感受性が強く想像力が豊かな少年だったので、TVで『あなたの知らない世界』を見てからというもの、その恐ろしさに苛まれることに…。それ以来、霊的なものを敬遠し続けてきたホラー弱者なのだが、アラフォーこいて何をぬかしてやがると一念発起してホラー祭りへ。

一本目の"Rabid Dogs"(1974)は全くホラー要素のない犯罪映画だったので、ホッとして2本目の"Shocker"(1989)へ。

Wes Craven脚本監督作品。

このウェス・クレイヴンは"A Nightmare on Elm Street"『エルム街の悪夢』(1984)や"Scream"(1996)を監督した人なのだが、豊富な作品群を何一つ見てないことに改めて驚いた。

ホラーというだけで申告敬遠していた自分が情けない。

ジャケ買いしたレコードが実は奇跡の一枚で目茶苦茶いいアルバムだった時のような喜びと幸運に浸りながら、映画を見ていた。

こんな素晴らしい監督がいたのか…。

まだまだ知らないことは多すぎるが、この知らないことを知っていく喜びは何にも代え難い…音楽でも文学でも…。

ただ殆ど間髪入れずに三本連続で見たので、次々と消化されてしまい記憶に定着してない。若い頃はオールナイトで5本連続見たりしても、もう少し覚えてたと思うけど…。

歳の所為にしたくないけど、今は1日2本が限界…。それもインターバルは多めに取りたい。連続で見ると、どうしても1本目の印象が薄くなってしまう。

ということで、とても面白かったという何とも抽象的でいて要領を得ない感想になってしまう。


先ずオープニングのタイトルバックからして目茶苦茶かっこいい。監督のセンスが一発で分かるし、ここだけで大いに期待できてしまう。

ヘビメタやハードロックだけは受け付けない体質なのだが、オープニングのタイトルバッグで流れるThe Dudes Of Wrathの"Shocker"はカッコイイ!

ヘビメタやハードロック、もしくはクリスチャンロックをアメリカで聴いてるのは、マッチョな変わり者という勝手なイメージが脳内にあるので、それが本作のオープニングにピタリと嵌まり最高に気持ち良い。

このThe Dudes Of Wrathは、デスモンド・チャイルド、ポール・スタンレー、ガイ・マン・デュード、ヴィヴィアン・キャンベル、ルディ・サーゾ、トミー・リーが参加したユニットなんだとか…。

正直こっちの分野には明るくないので、全員知らないのだが、経歴だけ見てるとスーパーバンドの気がするのだが…このバンドは、サントラのためだけに集まったのか?

速攻でサントラを注文したので、ブックレットにでも説明が書いてあればいいけど。


Mitch Pileggi演じるテレビの修理屋ピンターの所に令状なしで踏み込むところなんて、『羊たちの沈黙』(1991)みたいなおどろおどろしさがある。

テレビから出てくるピンターは貞子の元ネタか?

後半は笑えるほど破茶滅茶になって文字通りぶっ飛んでいくのだが…正直この世界のルール設定は、よく分からない。

ビデオの一時停止で動き止まるのは…?
それってどんな理屈なの?と目が点になるけど、それらを凌駕するほどの力技で笑えてしまうので、細かいところはどうでもよくなってしまう。

微に入り細を穿つことこそ最も大切な事だと言い続けてきたが、本作は軽々と飛び越えてしまう不思議な魅力がある。女の子を好きになってしまえば嫌なところも目をつぶれるのと同じような…。

プログラムには本作をコメディホラーと紹介していたが…そんなカテゴリーあるのか?知らなかった。もうホラーの定義がよく分からなくなってきたけど、食わず嫌いせずに見てよかった。

イーサン・ホークのバッタもんのような大学生ジョナサンを演じたPeter Bergも溌剌として勢いもあり当たり役だし、その彼女アリソンを演じたCamille Cooperもリース・ウィザースプーンのバッタもんのようだが、本家に勝る美しさで素晴らしかった。というか年齢的にはリース・ウィザースプーンがバッタもんなんだが…

ハイライトは小さい女の子にピンターが乗り移った時が良かったねぇ…あの小さい女の子が足を引きずってブルドーザーに乗るところとか最高。

まだ劇場で見れるチャンスがあるので熱帯夜に涼みに行くのもオススメです。
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