kazu1961

地下水道のkazu1961のレビュー・感想・評価

地下水道(1956年製作の映画)
4.0
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-454 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋中盤以降の地下水道だけで描かれる、その置かれている環境通りの閉塞感やクライマックスに至っても脱力感だけが残ります。だからこそその一方で生きることを諦めず“生”を求めてもがく姿、“生”の大切さが身に染みるその演出が究極に素晴らしい作品です。

🖋️本作、ポルトガル映画、そしてアンジェイ・ワイダの名を一躍世界に知らしめた作品で、第10回カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した作品です。 『世代』に次ぐいわゆる「抵抗三部作」の2作目としても知られる作品です。ワルシャワ蜂起という背景の中で、壊滅的打撃を受け、レジスタンスたちは地下水道へと逃げ込みます。そのレジスタンスたちを待ち構えている過酷な運命を緊迫感と閉塞感を持って見事に描いた作品です。

🖋️その様式が、リアリズムから表現主義的シンボリズムへ、客観的な描写から運命論的な悲劇へ、という視覚様式で物語は展開していくところがポーランド芸術を昇華した作品だといわれる所以。実際に蜂起に参加した人たちもエキストラ等で犠牲者の代弁として参加しているというのもシンボリズムの一つですね。

🖋️個人的にはクライマックスの出口に仕掛けられた手榴弾のシーンが緊張MAX。終盤は固唾を飲むそんな傑作です。

😱Story:(参考: Amazon)
1944年9月末、ドイツ軍に占領され荒廃した旧市街を、ポーランド国内軍の中隊が行軍している。中隊長のザドラ中尉(ヴィェンチスワフ・グリンスキ)、副官のモンドリ中尉(エミル・カレヴィチ)、連絡係の女性ハリンカ(テレサ・ベレゾフスカ)、記録係のクラ軍曹、小隊長のコラブ(タデウシュ・ヤンチャル)とその部下“ノッポ"(スタニスワフ・ミルスキ)、そして民間人の作曲家ミハウ(タデウシュ・シェイバル)が主要メンバーである。そこへ、連絡係のデイジー(テレサ・イジェフスカ)が加わる。度重なる攻撃で遂に進退きわまった隊員たちは、下水道を使って撤退するべくマンホールを降りてゆくが……。

🔸Database🔸
・邦題 :『地下水道』
・原題 :『Kanal』
・製作国 : ポーランド
・初公開 : 1956
・日本公開 : 1958/01/10
・上映時間 : 95分
・受賞 : 第10回カンヌ国際映画祭
審査員特別賞
・監督 : アンジェイ・ワイダ
・脚本 : イェジ・ステファン・スタヴィンスキー
・原作 : ※※※
・撮影 : イェジ・リップマン
・音楽 : ヤン・クレンツ
・出演 : ヴィンチスワフ・グリンスキー、タデウシュ・ヤンチャル、テレサ・イジェフスカ

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
第二次大戦下のポーランドにおける対独ゲリラ戦の一挿話を描いた一篇。イェジー・ステファン・スタウィニュスキーの原作『下水渠』をスタウィンスキ自ら脚色、三十一歳の若手アンジェイ・ワイダが監督した。撮影はイェジー・リップマン、音楽はヤン・クレンズ。主演はタデウシュ・ヤンチャル、テレサ・イゼウスカ、ヴィンチェスワフ・グリンスキー、そのほかポーランド国立映画アカデミーの学生たち。一九五七年度カンヌ国際映画祭・審査員特別賞、一九五七年度モスクワ世界青年平和友好映画祭青年監督賞をそれぞれ受賞。
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