VisorRobot

王立宇宙軍 オネアミスの翼のVisorRobotのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1987年。
汗臭い男連中と老人ばかりが出てきて、ヒロインは娼婦の物語。
ガガーリンが宇宙に飛び立ったのは1961年。

26年後、冷戦を背景として、ソ連崩壊の前年に公開された映画。

アポロの月面着陸は1969年。

シロツグらが生きる“もう一つの地球”はポストアポカリプスの世界のように明らかに貧しい。
リアルな地球よりも貧しい宇宙で、四半世紀前に達成した夢を追体験させることには、自分たちの箱庭で、もう一度青年期からやり直したいという欲望が感じられる。

とはいえ、そんな夢を日本人のSF好きの集団が集まって描くことができたのも、バブル絶頂の日本の浮ついた空気感が「地球市民」としての夜郎自大な気分を若者に与えていたからではないか。

最終的に宇宙へ飛び立つことにはやはりそれほどロマンを抱けず、ラストも投げっぱなしのように感じられた。でも、第一回劇場映画作品でオタク集団がやりたいことをやって、ここまで恥ずかしくないものを作ったのは、やはり、すごい。

新海アニメのようにたった一人でつくりはじめたわけではなく、同好の士でうかれてつくったからこその非統一感と、宇宙とSFへのロマン。
恥ずかしくない。
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