金庫破りで10年収監されていたデューク(ショーン・コネリー)は、出所後懲りずに早速愛人の住むアパートでの強盗の計画を立て仲間を集め始めるが、元犯罪者でマークされていた彼らは密かにFBI等により盗聴されており……というお話。
最初に観た『狼たちの午後』からシドニー・ルメット監督作品をちょこちょこ観てきて、そのハズレの無さに絶大な信頼を置いていたんだけど、今作は初めてハマらなかった作品だった。
そもそも邦題に難ありといったところで、仰々しく『盗聴作戦』とか言っているが実際はたまたま計画を盗み聞きされていたというだけで作戦もクソもなく、おまけにその盗聴が何か物語に絡んでくるのかと思いきや特になんの役割もなく終わってしまい、単に強盗チームのマヌケさを際立たせるだけになってしまっている。立場も何も違う人物たちが皆たまたま盗聴されているという状況は、監視社会になりつつあるアメリカを皮肉ったものなのかもしれないが、後半の目玉である強盗実行シーンでそこら辺は全く描かれなくなってくるので視点がぶれてしまったように思える。
余りにもあっさりと死んでいく仲間たちや苦味を残すラストなどのルメット監督らしいリアリズム描写、レトロフューチャーなクレジットの文字やSEとクインシー・ジョーンズによる不思議な劇伴など、いいなと思える要素も幾つかあるものの、全体的に精彩を欠いた作品だったかなという印象。
(2019.249)