Mikiyoshi1986

華麗なる殺人のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

華麗なる殺人(1965年製作の映画)
3.8
本日12月19日で没後11年を迎えるイタリアの名優マルチェロ・マストロヤンニ。

名立たる巨匠たちに愛され、彼自身は数多くの女優たちを愛してきた20世紀を代表するプレイボーイ俳優ですが、
本作で共演した元祖ボンドガール、ウルスラ・アンドレスも彼と浮き名を流した女優の一人。

戦争や犯罪の抑止策として殺人ゲーム"ハント"のスポーツ化が合法となった21世紀の近未来。
10連続殺人の賞金100万ドルにあと一人と迫ったアメリカ人美女をウルスラ姐さん、
彼女に狙われるイタリアの伊達男をマストロヤンニが頭髪を脱色してコミカルに好演します。

ウルスラ姐さんに密着して記念すべき10回目を放映しようする米TV局がいかにも欲深い資本主義大国らしく描かれ、
マストロヤンニは離婚問題や恋人云々で少し疲れ気味の金欠ダンディズムを披露。
特に「世界一離婚が難しい先進国」と謂われるイタリアの離婚調停で苦労しているくだりは彼自身の実体験から来るものだったりして笑えるし、
劇中は「フェリーニ通り」なんて住所も登場したり。
今年他界した女優エルザ・マルティネリも彼女役で登場し、情熱的でコケティッシュな可愛さを魅せてくれます。

プロデュースにはイタリア~フランス映画までの名作を世に送り出した大物プロデューサー、カルロ・ポンティ。
音楽はイタリア映画に素晴らしいスコアを数多く提供した名作曲家ピエロ・ピッチオーニ。
またモダンな衣装や美術にも余念がなく、60年代のレトロフューチャーが大変オシャレに映ります。

死の危機と愛の芽生えが交錯する二人の攻防、果たして彼らの運命や如何に!
ラストで原題『The 10th Victim』(10人目の犠牲者)の真意が明かされるのも大変シニカルで粋であります。

本作がきっかけでウルスラ姐さんを見事射止めたプレイボーイのヤン兄さんですが、
姐さんは彼の更に上を行くプレイガール。
本作撮影後すぐに出演し同年に公開された『カトマンズの男』ではさっそく主演ベルモンドと恋仲になり、ベベルは仕事そっちのけで姐さんとの蜜月を楽しんだのでありました。
女は強し…!
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