てつこてつ

悪魔が来りて笛を吹くのてつこてつのレビュー・感想・評価

悪魔が来りて笛を吹く(1979年製作の映画)
3.3
金田一耕助物の映画群の中では、唯一、サブスクでは視聴が叶わなかったこの作品。ゲオの旧作55円キャンペーンに乗っかり、やっとレンタル。

横溝正史の原作は未読だが、テレビ版は視聴していたので犯人や大体のストーリーは知っていた。が、石坂浩二が主演の市川崑監督による東宝が製作したシリーズや、松竹が渥美清を迎えて製作した「八つ墓村」に比較して、東映が主演に西田敏行を迎えて映像化した本作は、ストーリーや犯人の動機の主軸となるエロスの部分を抑え気味でありながらも、他社の作品と比べてかなり大胆に表現しているのに驚いた。

元子爵の一族である、一癖も二癖もありそうな濃いキャラクター陣、時代を感じさせるものの豪華絢爛な洋館のセットと見どころも多い。

ハーフの女優である鰐淵晴子は、まさにこの役どころにはピッタリ。浮世離れした妖艶な美貌で、まるでグリム童話の晩餐会から抜け出してきたようなディナードレス姿も実に画になる。

洋装が多い登場キャラクターの中で、着物姿の池波志乃、浜木綿子も艶っぽく美しい。

ストーリー自体は、多少複雑ではありながらも、かなりタブーなテーマを扱っており、犯人にも同情の余地が大いに有り。

横溝正史の作品の中では密室殺人のトリックも売りらしいが、その点では、「本陣殺人事件」のほうがオリジナリティと日本ならではの情緒があって遙かに凄いと思う。

宮内淳が出演しているので、調べたところ2020年に70歳で逝去している事実を知ってショック。子供時代に見ていた「太陽にほえろ」やリポビタンDのCMが心底懐かしい・・。

要所要所で使われる物悲しいフルートの楽曲がいつまでも耳に残る。
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