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今度は愛妻家のodyssのレビュー・感想・評価

今度は愛妻家(2009年製作の映画)
4.3
【後に尾を曳く映画】

尾を曳くという言葉がありますが、見た後にかなり残る映画です。余韻、というのとは少し違う。必ずしも同じような立場にない人でも、自分が生きてきた中で「こうすればよかったなあ」という悔恨を思い出していたたまれなくなる、そんな感じです。

この映画にはちょっとした仕掛けがありますが、それがいい方に作用しています。あざとい、という印象がなく、仕掛けを自然に受け取れるのです。リアリズムと仕掛けの相乗作用とでも言うのでしょうか。

惜しむらくは、最後の辺りがややくどいこと。もう少しすっきり終わらせた方が良かった。でも全体の出来栄えからすると、まあ瑕瑾といったところでしょう。

トヨエツのダメ亭主ぶりと、薬師丸ひろ子のかいがいしい奥さんぶりが、いずれも見事。トヨエツは役者としての幅をどんどん広げてきていますね。薬師丸は、かつて『セーラー服と機関銃』などで少女性を売りにしていましたが、この人の基本的な持ち味はあまり変わっていないと思う。この映画では、少女っぽさを残した奥さんということで、男にとっては理想的な妻を表現しています。彼女の特性がいい方に活かされていると言えるでしょう。

ただ、個人的な好みで言うと、もう少し亭主を放っておいてくれる奥さんのほうが私としてはいいですね。恋人時代はともかく、結婚後はあんまりかいがいしくされると、男としてはどうしても「ウルサイ」と感じてしまうものですから。
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