千年女優

ミルクの千年女優のレビュー・感想・評価

ミルク(2008年製作の映画)
4.5
二度の落選後に現職ダン・ホワイトを退けてサンフランシスコ市議に選出された同性愛活動家で、不穏な動きを察知したことから暗殺を覚悟して遺書をしたためるハーヴェイ・ミルク。同性愛者を公言する者としてアメリカで初の公職に就いた彼が、いかにしてマイノリティの支持を集めて反対派の脅威となっていったのかを描く伝記映画です。

コロンバイン高校銃乱射事件をモチーフにした『エレファント』らで知られて自身もそうであることから同性愛をテーマにした作品を多く手掛けてきたガス・ヴァン・サントが実在のLGBT活動家の足跡を映画化した作品で、主演を務めるショーン・ペンの熱演を引き出すとアカデミー賞を始め多くの映画賞で主演男優賞と脚本賞を獲得しました。

不当な現実に立ち上がった人物を称える物語を見事な熱演を披露するショーン・ペンで魅力的に表現し、それでいて伝記映画が陥りがちなキレイゴト感を現実的視線を絶やさないサントの演出で回避します。対象を限定しないマイノリティ全般へと広げる語り口で、今日生きることに不安を感じる者が希望に満ちた明日を迎えるための一作です。
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