さりさり

いつか読書する日のさりさりのレビュー・感想・評価

いつか読書する日(2004年製作の映画)
2.8
フィル友のひでちゃんが「タイトルの意味がよくわからない。一緒に考えてみたい」と言うので、興味が湧いて観てみました。
大人の恋愛映画らしいし、出演者も田中裕子✕岸部一徳という異色カップル、更に同じくフィル友のアギゴンちゃんが「穴場の匂いがする…」と言い出し、“穴場” という言葉が可笑しくて可笑しくて、これはもう観るしかない!と思ったのであります。

確かに “穴場” の匂いはしました。
長崎という坂道の多い土地柄、そこを毎朝息を切らせながら牛乳配達をする田中裕子。
彼女の息づかいが、ほのかなエロスを漂わせます。
50代の未婚の女性という設定ですが、そこはかとない魅力を感じました。

そしてお相手の岸部一徳、もはや「官房長〜〜!」のイメージしかない岸部さんでしたが、病に伏せる妻を優しく介護する、よく出来た夫を好演していました。

「心の不倫」という言葉が浮かびましたが、これは不倫ともちょっと違う気がします。
だってこれは「不」ではない、「純」なのだと思ったからです。

そしてもうひとり、重要な存在である一徳の妻。
余命いくばくもない妻に同情という気持ちは湧くものの、多分私は冷たい性格なのでしょう、妻の取った行動がとても傲慢なものにしか見えず、人の気持ちを考えているようで、実はとても自分中心、その気持ちを周りに押し付けているだけのように感じました。
彼女は仏のような気持ちで二人を見ていたのではなく、とても悔しかったのだと思う。
憎らしかったのだと思う。
そう考えた方が納得がいきます。

しっとりとした雰囲気のドラマでしたが、何となくどんよりと暗く、響くようで響かず、ラストも好みではありませんでした。
あの展開は、結局何を言いたいのかわからなくなってしまったのです。
あれは例えようもなく暗い “穴場” です。
なのでスコアは低目です。

そうそう、タイトルの意味。
これはひでちゃん、コメント欄で話しましょうね。
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