CureTochan

映画 ふたりはプリキュア Splash Star チクタク危機一髪!のCureTochanのレビュー・感想・評価

3.9
テスト前で時間がない娘と、短い本作を再鑑賞。作画監督の手が素晴らしく人物の絵がキマっているし、音楽もいいし、ガッツリ泣ける。けど、、な作品。
プリキュア映画って、プロット上の大団円をバトルシーンが邪魔してしまうことがあるのだが、今やってるオールスターズFはそこがうまかった。オペラ「フィガロの結婚」だって、キャラたちの和解がクライマックスになっている。なんならマイ・フェア・レディも、ノッティングヒルも和解の話。犬猿の仲で始まるのはラブコメの古いお約束だ。

で、本作はそこが惜しい。前半のシナリオはパーフェクト。二人が互いにイライラしていく様子が手に取るようにわかる。強いて言えば、がさつなキュアブルームが持っている熱さを、もっと相方と対称的に出せていればバディものとして強くなった。このプリキュアは、長女もまだ小さすぎてテレビを観てないからキャラのことはよく知らないが・・

そんな完璧な前フリから、この二人が和解したところで、爆発的な力を出してプロットが解決する、という流れが期待される。ところが観客を待っているのは長大な演説バトルシーンだ。こういう本質の外し方って、日本の子供たちからドラマを理解する力を奪っている気さえする。人情噺などわからない小さい子たちも、別に喜んではいない。女の子だって、私のようなナイスミドルだって、見たいのは暴力ではなくエモーションだからだ。ここをエモーショナルにするためには、たとえば誰かの夢を奪うとか、悪者が本当に悪いことをする必要があっただろう。でも完成度が下がるか、幼児にはわからなくなるかもしれない。
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