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光る眼のnetfilmsのレビュー・感想・評価

光る眼(1995年製作の映画)
3.8
 まるで『ザ・フォッグ』 のような印象的な崖のあるカリフォルニア州・ミッドウィッチ。夜のしじまに突然霧がたちこめ、動物の群れは何かに怯えた様子で一斉に逃げる。今日も幸せな眠りについたアラン・チェフィー医師(クリストファー・リーヴ)は突然何かに呼ばれたように飛び起き、窓の外の様子を見つめる。翌日のバザーの朝、町民たちは会場に集まり、思い思いにイベントの準備をするが時計が午前10時の針を指し示す頃、突然意識を失い倒れる。その時間、別の仕事で街を出ていたアラン医師が街に戻る頃、6時間後の午後4時に彼らはどういうわけか突如目覚める。FBIも警察も首を傾げる奇妙な事件の後、街の女性たちはみな妊娠していることが明らかになる。そこにはまだ処女の女性も含まれていた。

 ジョン・ウィンダムの『呪われた村』を映画化した物語は、同時期に生まれた9人の子供たちに街そのものが混乱に陥れられる。異常な輝きを放つ緑の目から赤い目へ。人間の行動を操る「光る眼」の魔力にアランは気付き、スーザン・ヴァーナー博士(カースティ・アレイ)と共に何とか状況を打開しようと試みるのだが、人の心を三手先まで読む子供たちの集団に、街の人々は1人、また1人と次々に犠牲になって行く。9年に及ぶ大人と子供たちとの格闘の記録を丹念に炙り出した時間軸はカーペンターの中でも最長に思えるが、これまでのカーペンター作品のように、科学の力では解明出来ない問題に出会い、大人たちは絶望の中で朽ち果てて行く。大人びた子供たちの心への侵略は然し乍ら、1人の少年の瞳を通して様相が変わって行く。あの子だけはという母親の強い思いの中に、遂に娘を説き伏せられなかった父親の無念が滲む。
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