まりぃくりすてぃ

父ちゃんのポーが聞こえるのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

父ちゃんのポーが聞こえる(1971年製作の映画)
2.9
感動を期待したんだけどなぁ、、、ある種の毒キノコ映画だった。

父ちゃん役の小林桂樹さん、台詞の一語一語をはっきり宙に刻みつけて動作にも入魂。整音の良さもある? ほかの役者さんたちも全員まるでストーリー性充分のラジオドラマやるように発声を端々まで大切にしてる。ノッコちゃん役の吉沢京子さんは、硬さも初々しさも派手さも張り切り方も現代邦画に通じる。

病や死を扱うからといってお涙頂戴映画にはしたくない、という監督のすばらしい闘志と裏腹に、中盤(恋心)ぐらいから展開(と一部の演出)がややベタになっていき、しばらくはすべて許容範囲内だったんだけれども、、、、終盤やっぱりお涙頂戴ロイヤルストレート! 泣き虫な私が何と何と、男泣きの父ちゃんを見ながら爆笑しそうになっちゃった。ゴメンネ。
追い詰められキャラに魂を入れすぎた桂樹さんが、後妻(美しい司葉子さん)を精神的に虐待したその後のケア場面を台本に用意してもらえなかったために、暴れん坊な印象のままラストへ行った。それが少々悪かった。むしろ機関助士丸山役の藤岡琢也さんにだけ、ちょっぴりだけ泣かされそうになった。。。(泣かなかった。)

てことで、運転席(で私語するのは本当はチョットだけども)を惜しげもなくしょっちゅう映してくれる、SL萌え用の映画でもある。(しかし終盤にアレが来ちゃうから萌えも引っ込む?)

養護教員役の吉行和子さん、若くて華奢。
パン屋役の佐々木勝彦さん、太眉が微妙。台本的にも、もっと彼を引きずりたかった。
ソレが主題ってわかるけども父一人娘一人みたいな映画になっちゃって、冒頭以外にお姉ちゃん(森るみ子さん)は登場しないんだね。。

映画が結局キノコやバナナであろうとも、桂樹さんは一級品だ。ともかく。それと、監督が言ってるとおり、ヒロインの詩は怒りの時が一番イキイキしてた。