「美しき諍い女」
老画家が未完の最高傑作「美しき諍い女」を完成させるまでの流れを4時間かけてゆっくり描き出した作品。監督はジャック・リヴェット、老画家をミシェル・ピコリ、ヌードモデルをした女性をエマニュエル・べアールが演じている。
とにかく長い。スケッチブックにスケッチをする様を何分もかけて描いたり、1つのシーンを何十分にもわたって描いたりしているので、こういう映画に対しての耐性がないとかなりきつい。幸い「サタンタンゴ」などの少ないカット数を作品を鑑賞している私は最後まで鑑賞出来たが、それでもかなり長かった。
芸術家が絵を完成させるまでの道筋であったり、ヌードモデルの過酷さだったりを美しい映像とキャンバスと筆が触れ合う印象的な音と共に描きだしていて映画館で観れば至福のひとときかもしれないが、家で観ると作品の何分の一しか魅力を享受できていないかもしれない。
TVドラマのようなゆっくりとした心境変化を、映画でやってしまったような印象だった。何がそこまでエマニュエル・べアール演じる主人公の心を動かしたのかはわからないが、これが芸術の魔術なのだろう。ある意味では魔法のような映画だったかもしれない。