トムヤムくん

ミラノ、愛に生きるのトムヤムくんのレビュー・感想・評価

ミラノ、愛に生きる(2009年製作の映画)
3.7
ミラノの富豪に嫁いだ女性が、息子の友人と不倫関係に陥る。女性の「解放」の物語。他の方も言ってるけどアネット・ベニング主演の『華麗なる恋の舞台で』っぽかった。

ただの不倫映画ではなく、LGBTQやフェミニズムなど幾つもの複雑な要素がゆっくりと絡み合って進んでいく。序盤は少し退屈だったけど、少しずつギアが上がっていき、先の読めない展開が良かった。こんなにスリリングな不倫劇も中々無いと思う。

後の2作『君の名前で僕を呼んで』と『胸騒ぎのシチリア』にも共通した、衝動的で、かつ情熱的な性の物語にはルカ・グァダニーノの致死量の作家性を浴びせられた感覚だった。

ロシア語とイタリア語を流暢に使い分け、少しずつ生命を取り戻していくティルダ・スウィントンもすごく良かった。彼女じゃなかったらこんなに面白くなかったと思う。美しさと虚しさが入り交る120分だった。