夏に夏の作品を鑑賞しようと買っておいたDVDであるが、テレビで放送され話題に・・・ま、まぁこっちは特典が沢山あるし!
数学オリンピック日本代表候補が主人公と言うことで、もっと主人公が数学で戦う作品と思っていたんだけど、そういう感じでもなかった。
オンラインと長野の田舎の風景。
異なる世界であり、両方わたしの好きな風景。
オンラインの環境が整った世界で、ほぼすべての人間がこの電子世界のアカウントを持ち、おおよそすべてのコンピュータを管理している凄い電脳世界OZ。
そこに、異質なAIがやってきて様々なアカウントを乗っ取りはじめる。
世界中のコンピュータを管理していたコンピュータが乗っ取られたので、世界は大混乱。
そんな世界を長野の上田、田舎に集結した旧家親戚一同がなんとかする話。
粗筋を語ると、そんなに面白そうではないんだが・・・。
アメリカのSF映画なんかによくある構図でもあるしね。
ただ、切り口が全然違うし、日本的。
しかし、日本的なこの手の作品は、コンピュータ管理を全否定して人情と根性に訴えかけがちでこれまたつまらなくなりそうなんだが・・・ここもまた、変わった切り口で、電脳を否定しない。
じゃあ平成作品の特徴でもある、大きなトラブルに対して全力で解決に当たり、問題なく対決が行われる作品かというと・・・適度にバカが引っかき回す昭和的な演出も残っている。
文章で伝えるのが難しい匙加減。
こう言っちゃレヴューの意味が無いけど、観てもらった方が理解は早いかと・・・。
まぁ逆に言うと、「現実の人間対ヴァーチャル世界のAIの戦い」「コンピュータを全否定する人情ドラマ」「田舎の旧家の財産を巡るドロドロな陰謀」なんかを期待する層の期待には応えられない。
ありがちな設定をありがちなまま送られていない印象。
テーマ「絆」。
この説教臭いテーマを、説教臭くなく自然な形で表現した系な作品に思える。
「悪人がいない」作品と語られているのを観た気がするが、この作品には「偽善者」もいない気がする。
上っ面だけいいかっこして、スカスカな台詞を吐く存在がいなかったように思う。
内容が説明しにくいんだよね。
ゲームゲームしてないわけでもないけど、戦争ゲームするわけでもないし。
現実世界も混乱するけど、現実世界が奮起する内容でもないし。
わたしの買ったDVDにはオーディオコメンタリーと特典ディスクがついてた。
専門的な用語や世界観の説明を期待したけれど、それらが語られるコンテンツがなかったのは残念。
暗号についてとか解説があった方がより面白かったと思う・・・素因数分解だよね?・・・2021年YouTubeのクイズノックの動画で詳しい解説があるので興味のある方は検索してみてください。
特典の方に、本編まるまる一本分の絵コンテが披露される。
普通の視聴者には全く価値のないコンテンツではあるが、映画・劇場アニメクリエイターを目指す人にはとても貴重な映像と思う。
プリビズなんかが数シーン特典に入っている作品は結構あるが本編一本まるまるは中々観る機会はないし。
演者インタヴューや舞台挨拶なんかは、よくある感じではあるけれど・・・アフレコシーンの映像なんかがちょこちょこ挟まれるのは新鮮。
本編とはあまり関係ないけど・・・コロナが収まったらまた上田を散歩してみたいと思った。
・・・や、ホント本編には殆ど上田のシーンはないけどね。