似太郎

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-の似太郎のレビュー・感想・評価

4.6
ロベール・ブレッソンらしく厳格な画面構成と哲学的なダイアローグが印象的な脱獄映画。其処彼処にドストエフスキーなどのロシア文学の影響が垣間見れる。

全編ド素人の役者を起用し、ブツブツ独り言を言いながら脱獄の手順を考案していくロンリネスな主人公の厨二っぽさが如何にもブレッソン的。最高傑作と名高い『ラルジャン』よりも楽しめた。

監獄のセットが悪夢的で暗いリアリティをひしひしと感じる。同じ脱獄モノのジャック・ベッケル『穴』が漢同士の友情を描いた作品なのに対して本作は一人孤立していく根暗なインテリ青年の厭世的世界である。延々と主人公が無表情でぶつぶつ…ぶつぶつ…とぼやいているのが面白い。
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