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人間の條件 完結篇のmajiziのレビュー・感想・評価

人間の條件 完結篇(1961年製作の映画)
4.5
極限状態で人間の本質が発露されるなどと言うが、劣悪な条件のもと奴隷扱いされた場合、また悪意に満ちた攻撃を向けられたなら最終的に本能として自分を守るしか無い。何をもって人間らしさと言うのか。

5部はソ連からの攻撃により部隊は全滅。生き残りの梶は部下とひたすら歩くところからスタート。
途中、非難民たちと出会い共に行動するが。ここでもやるせない悲劇やうんざりする悪辣な軍人を見せられる。

6部でとうとうソ連軍の捕虜となり、強制労働の日々。そこでは同じく捕虜の立場ながら指揮官となっている日本軍の将校たちから更なる嫌がらせを受ける。
どこまでいっても上下関係は切れないし、支配する側はこうやってうまく人を使う。

戦争を語りたくない人がいたのは被害者はもちろん、加害者であることを認めたくない面も当然あっただろう。自分が何をしてしまったのか。そんなうしろめたさは戦争を言い訳に出来るのだろうか。

梶の理性がだんだん失われていき、壊れていく様は痛々しい。妻への愛を求めて、愛だけを励みに動くも、待ち受けるのは残酷な結末。

辛い作品でしたが大変な名作です。
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