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ミラルのBaadのレビュー・感想・評価

ミラル(2010年製作の映画)
3.9
映画館でチラシを見て、バレスチナを題材にした映画の割に、あまりにキャストが豪華だったのと、監督がジュリアン・シュナーベルだったので興味を引かれ、ぎりぎり滑り込みで見てきました。

国際的に活躍するパレスティナ人の女性ジャーナリストの自叙伝的な半生を描いた実話映画。主演の女の子はどうも見た事があるとおもったら、『スラムドック$ミリオネア』のラティカでした。フリーダ・ピントというとラテン系の名前だから紛らわしいけれど、ひょっとしてポルトガルの統治下にあったゴアの出身のキリスト教徒?ラティカの時より地味な感じですが、目ぢからがあって力強く、いい感じでミラルを演じています。

ミラルの半生を語る事によって、同時に英国統治下からイスラエルの支配下に入りオスロ合意に至るまでのパレスチナ人の生活のありようをとても分かり易く語っています。監督はこの映画の原作を読むまでパレスチナの事は全く知らなかったと言う事ですが、誠実にきちんと物語を語っています。それだけにこの地の事を知らない人にも分かり易い作りですし、映画としてもそこそこ面白いので、知識を得るだけのために見るのもありかと思います。

恩師のヒンドゥ・フセイニと父親の生き方がすばらしく、演じる俳優さん達も美しく、演技力も品格も申し分なしです。押さえは効いているけれど、力のこもった映画ですから、宣伝してもう少し大きな規模で公開してもいいのではないかと思いました。

「ミュンヘン」と見比べると、ユダヤ系であれ、パレスチナ系であれ、この国に住む人の生活や抱える問題はそう大きく違わないという印象を持ちました。

宗教や文化が違うといっても、レッテルや文字の違い程度の差異で、中を見れば文化的には同質な部分が多そうなのに、なぜ争いが止まないのか、本当に不思議です。

(ラティカの目ぢから 2011/10/16記)
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