レネリー

鮫肌男と桃尻女のレネリーのレビュー・感想・評価

鮫肌男と桃尻女(1998年製作の映画)
5.0
DVDにて再鑑賞。

『スマグラー』や『PARTY7』で知られる石井克人監督の最高傑作である本作は、バイオレントな逃避劇を異質すぎる作風で描きながらも虜になったら一生抜け出せなくなるくらいの中毒性を誇る。
組織の金を持ち逃げした、鮫肌黒男。叔父が経営するホテルで働く桃尻トシコは、偏執的な叔父に嫌気がさして、遂にホテルを飛び出す。そして組から追われる鮫肌と出会い行くあてのない逃避行に出る。
という、単純明快なストーリーにも関わらず、見せ場のオンパレード。
全キャラクターの魅力的すぎる個性と異質ながらも独創性あふれ、妙な笑みが溢れてしまうコメディ演出。

特に評価できるのが、原作では存在しないオリジナルキャラクター『山田』の圧倒的存在感と個性。これは我修院達也だから演じることができた感無量の登場人物である。
山田ボイス、殺し屋なのに全然怖く無い。でも、サイコパスのオーラがフル稼働しているが、面白い。
この感性が麻痺してしまうほどの個性に虜になったら最後、何度も何度も観たくなる。
公衆トイレでのやり取りとか至高すぎる。
殺すはずが恋に落ち、ドナドナを良い声で歌い、全く関係のない一般人の足をサプレッサー付き銃で撃つ。
何度見ても笑いが止まらない。

俺の大好きな北野武作品を彷彿させるオマージュとも取れる演出も最高にイカしてる。
全て真似ているのでは無く、石井監督独自の世界観が交えているから尚更良く見える。

90年代最後に登場した本作はまさに日本映画の宝であり、これからも定期的に観たくなってしまうほど中毒性の高い最高傑作だ!
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