半兵衛

ステージ・ドアの半兵衛のレビュー・感想・評価

ステージ・ドア(1937年製作の映画)
3.5
この時代に既に明け透けに女優の内幕を描いたドラマがあることに驚かされるし、売れない女優たちが暮らす寮で意地の悪い会話をひっきりなしに交わしていくのは痛快だったけれど肝心のショウビジネスの世界をやや綺麗事に描いているので結末が少し煮え切らない。この当時性を扱うのはタブーだったしそこまでスキャンダルな内容をお客が求めていなかったというのもあるかもしれないが、プロデューサーとの夜の付き合いやらブラックなネタを入れていたらもっと面白くなっていたはずなのに。

それに主人公ポジションにいる女優の卵キャサリン・ヘプバーンが性格が悪すぎて見ていて結構腹が立つ、彼女がある人物にした行為が罰とならずお涙頂戴で濁されるラストにもモヤモヤする。

キャサリン・ヘプバーン、ジンジャー・ロジャース、ルシル・ボールといった名女優が生き生きと売れない女優を演じているのも見所だけれど、そんな演技の上手い彼女たちよりも悲劇的な結末を迎えるケイを演じるアンドレア・リーズの繊細な演技が圧倒的でもしかしたらとんでもなく才能のあった役者なのではと感じた。役者として芽が出ないことに苦悩しそのうえダメ出しでやられた行為に精神が崩壊し、聞こえないはずの拍手に導かれていく狂乱の演技の素晴らしさ!

でもそんなアンドレア・リーズよりもキャサリン・ヘプバーンがアカデミー女優賞にノミネートされるなんて(賞自体は取れなかった)、ちょっと納得がいかない。ちなみにリーズはこの三年後に結婚して女優を引退したとか。
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