まいたらしえくらん

陽炎のまいたらしえくらんのレビュー・感想・評価

陽炎(1991年製作の映画)
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少なくともある時代の樋口可南子は監督の腕に対してリトマス試験紙のように存在する女優だったと思う。こちら側でイメージが固定できない人で、なんの映画で見ても「あれ?これ樋口可南子?そうかな?あ、やっぱそうか……」という、まるでスターシステムの存在しないヨーロッパの女優の顔を確かめ見るような、不安かつ新鮮な時期を持ってたかなり稀有な女優さんだったと思う(ある時期まではね)。

と、そういうわけで雑誌やコマーシャルだとか、どこかで見たふうに樋口可南子をなんの意識もなく映せてしまう映画監督というのは大抵才能がないと考えております。五社ももちろんその一人です。