天豆てんまめ

火宅の人の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

火宅の人(1986年製作の映画)
4.2
檀一雄の自伝的小説を深作欣二が映画化。

愛人との逢瀬をひたすら繰り返す、父としても夫としても失格の破滅型作家を緒形拳が嬉々として演じている。

その愛人の1人は原田美枝子、もう1人は松坂慶子、当時の2代演技派艶女優との濡れ場は、当時独身の私には、こんな2人との逃避行は人生破滅しても男の夢か、、と非常に羨ましく思った記憶がある 笑 

特に原田美枝子のスタイルは日本映画史上おそらくNo.1のダイナマイトボディでそれだけで私は圧倒されたのだが、、

一方そんな堕落の底の夫を待ついしだあゆみが無表情でブランコをこぐシーンは私にはホラー映画より怖かった。。

深作欣二監督には珍しい文芸作品はそんな男としてあまりに最低な、でもあまりに羨ましい1人の男の顛末を眺める時間。ヤクザ映画とアクション映画よりも遥かに私に深い刻印を残したのだった。

今改めて観ると、脳炎にてマヒ障害に至った幼い息子を放置し逢瀬を繰り返し、妻は宗教に走る。この家族を顧みない男に半端ない嫌悪感を抱いてしまったが、演じた緒形拳は、本作と「復讐するは我にあり」で忘れられない役者である。