千年女優

Mr.インクレディブルの千年女優のレビュー・感想・評価

Mr.インクレディブル(2004年製作の映画)
2.0
かつて超能力を持ったスーパーヒーローが自警活動を行うもその活動に伴う被害が社会問題となり活動が法律で禁じられる世界。そのひとりであり、同じく元ヒーローの妻と結婚して三人の子供を授って窮屈で慣れない会社員生活を送るMr.インクレディブルが、ヒーロー活動の再開を促す誘いに乗って巻き込まれる騒動を描いたアニメ映画です。

ピクサー・アニメーションによる2004年公開の長編アニメ映画第六弾で、監督ブラッド・バードの強い作家的主張である「才能を持った者は社会に見初められそれを開花すべし」が色濃く表れており、「自己実現としてのスーパーヒーロー物語」という点でM・ナイト・シャマランの『アンブレイカブル』から成る三部作を彷彿させるお話です。

アニメの質は高く自己実現も才能開花も結構ですが、この自己実現戦争時代に「才能なし」はあまりに残酷な事実で、本作には主題と裏腹のそれを抉るサディズムも露骨に感じられ、才能なくともヒーローに憧れた元少年を大の大人が天賦の力でねじ伏せる展開はあまり気持ちの良いものではなく、全世代向けとしてそぐわないと思う一作です。
千年女優

千年女優