イジー・トルンカの代表作といえば遺作にして最高傑作の手であるけど、この作品もその手に匹敵するくらいの傑作
アンデルセン童話を基にしたこの寓話的作品は、ただの人形アニメとしても動きとか感情表現が秀逸なのだけど、そこに病弱な子供の見る夢という設定が加わっているため余計に感動的な代物となっている
しかも作品において最重要な働きを為す鶯の声としてのヴァイオリンの音色があまりにも美しいせいで、不覚にも劇中の皇帝同様感涙してしまった
アニメという言葉は「生命を吹き込む」という意味のanimateからきているが、生命を持たない人形だけでなく音にすら生命が宿っているように思わせるイジー・トルンカは、まさに史上最高峰のアニメ監督だったと言える
しかもそんな極上のフィクションを提供しておきながら作中で紛い物に感動することの皮肉を描いてしまうのだから、イジー・トルンカって人物は本当に途轍もない