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スキャナー・ダークリーの8bitのレビュー・感想・評価

スキャナー・ダークリー(2006年製作の映画)
4.0
フォロワーのmegさんからおすすめいただいた映画。
ようやく観れましたよー^_^

オープニングからただ事ではない不快感。
観ているだけで身体中が痒くなってきた…。
ドラッグの危険性を描いた映画なのかと思いきや、それだけではなくもっと恐ろしいものが描かれていたと思う。

自分が自分であることがわからなくなること。
アイデンティティーの喪失。
自らを監視しなければいけないという禅問答のような状況と、目の前に置かれた〝物質D〟。
必然のように墜ちていった彼は、暗闇のスキャナーに見つめられながら大義名分のもとに利用され続ける。
自分というものを失った人間はただの動く人形として生きてゆくしかない。
綺麗な青い花を見つめながら、彼が最後にとった行動は希望と受け取って良いのだろうか…。

こんなにも可哀想な主人公は久しぶりにみた。
現実と非現実の狭間を漂うようなロトスコープの映像は、自分自身を見失ってゆくというストーリーにぴったりだったと思う。
逮捕歴のある俳優ばかりを揃えたキャストの演技はアウトローな危険さと人間的な危うさを感じさせ、ヒリヒリするようなリアリティがあった。
特に「アイアンマン」で復活する前の、ロバート・ダウニーJr.の超絶ジャンキー演技は得体の知れない凄みすら感じた。
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