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クリクリのいた夏のsonozyのレビュー・感想・評価

クリクリのいた夏(1999年製作の映画)
5.0
ジャック・ベッケル監督によるヒューマン・ドラマ。
原題『Les Enfants du marais = 沼地の子供たち』

1930年代初頭、フランスのとあるマレ(沼地)のほとり。
亡くなった父の小屋で一人暮らすガリス(ジャック・ガンブラン)は、近くに住むおつむ弱めのリトン(ジャック・ヴィレル)と二人、鈴蘭のブーケを街で売ったり、家を回り歌って小銭を得る毎日。
街で暮らす優雅な独身貴族アメデ(アンドレ・デュソリエ)とも仲良くしている。

リトンは、強妻と3人の子供(末娘が5歳のクリクリ)を抱えてはいるが、昔逃げられたパネラに今も未練が断ち切れず、酒好きでだらしなく、何もかもガリスがいないと話にならない男。

そんなリトンに呆れ疎ましく感じながらも、様々な手助けをするガリスが何ともいい男。
貧しくも豊かな自然の中での二人の友情・暮らしを軸に以下のような登場人物たちが登場します。

二人が忍び込んだ洋館で出会った美しいメイド、マリー(イザベル・カレ)→ガリスが惹かれていく。

試合間近だったがバーでリトンと揉め事となり大暴れし逮捕されるボクサー、ジョー(エリック・カントナ)→リトンへの強烈な恨みを持つ。

裕福だが娘と娘婿と上手くいっていない老人ぺぺ(ミシェル・セロー)→かつて沼地で暮らしていたカエル獲り名人で、ガリス、リトン、アメデと仲良くなる。

ぺぺと沼地に遊びに来た孫のピエロくん。→クリクリの初恋の相手となる。

物語は老年となったクリクリ(ラストに登場)の回想となってますが、クリクリ視点というよりも、ガリス、リトン、アメデ、ぺぺの4人が沼地で過ごしたあの時間の貴重さが印象深い。郷愁と哀愁が沁みる名作です。
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