ゴリアテの憂鬱

クリクリのいた夏のゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

クリクリのいた夏(1999年製作の映画)
4.5
ストーリーや映画の色合いは個人的にはタイプではないのですが、都会での日々は何かと疲れるのと、『ニューシネマパラダイス』のように本作は温もりのあるノスタルジーの名作な気配がして、悩んだ挙句夏のうちに観たいなと思ってBlu-rayを買いました。

結果、素晴らしい作品でした。

貧しい沼地に住み、その季節毎に仕事になりそうなことを探しつつ、仲間と支え合い、質素ながら豊かに暮らす。

欲にまみれギスギスした都会には、人間として生きる上での本当の豊かさなんてもはや存在するのだろうか?と考えてしまいます。

確かに世の中や暮らしは便利になりましたが、人間にとって最も暮らしやすい時代とはいつだったのでしょうか。

僕は田舎育ちだったのですが、子供の頃は友達と裏山で追いかけっこをし、森の中ひたすら川上を目指して川を登り、スケジュールが真っ白な日々が延々と続く夏休みを過ごしました。

その頃のことを思い出すと、眩し過ぎて自然と涙が出そうになるのは、年齢を重ねたからではなく、自分自身の心が都会に染まり切ってしまっているからなのかも知れません。