むぅ

ジャンヌ・ダルクのむぅのレビュー・感想・評価

ジャンヌ・ダルク(1999年製作の映画)
3.6
酒神様にはご寵愛を受けている。

と、思う。
久しぶりに行ったバーで何やらお土産の良いワインの栓を抜く瞬間に遭遇して「ちょっと飲む?」というラッキーな事もあるし、コンビニでお酒を買ってクジを引いたらお酒が当たるなんて日常茶飯事の域だった。
が、嬉しい事に映画の神様にも嫌われてはいないらしい。
たまには本も読まなきゃなぁと思いながらwikipediaの[ジャンヌ・ダルク]のページを開いたら、611年前の今日1月6日は彼女の生まれた日だった。


百年戦争でフランスの窮地を救う転機となったオルレアンの解放を指揮した少女ジャンヌ・ダルク。
彼女は神の啓示を受けて立ち上がったとされている。
19年という短すぎる彼女の生涯を描く。


神の啓示。
私は無宗教なので、どうしてもその辺はピンとこないものがある。
「神様!」と思うのも年に一度もなく、お腹が痛くてお手洗いに立てこもる時くらいのものだ。
神の啓示に従って突き進むジャンヌ・ダルクの姿は、強く、けれども脆さと共に描かれていた。

信じていた何か。
それが信じられなくなった時、崩れ去った時、そもそもその何かは存在しなかったのではと思い至った時、人はどうなるのか。
この『ジャンヌ・ダルク』を通して描きたかったものは、それなのではないかと思う。
私自身、何かの決断や判断、それにまつわる発言や行動が間違っていたのではないかという事に向き合うのはしんどい。でもそれをしなければ本当の意味で前には進めないと思うので、逃げる事もあるけれど逃げずに頑張るようにはしている。
その葛藤をジャンヌ・ダルクが突きつけられる後半が印象的だった。
『レ・ミゼラブル』の流れで観た『マリー・アントワネット』
自身の感情を押し殺すマリー・アントワネットと、今作で泣き叫ぶジャンヌ・ダルク、全く違うようでちょっと似ている気がした。

自分の主張やネガティブな感情を伝える際、冷静に丁寧な言葉で伝えたいと私自身は思う。
けれども、誰かが感情的に訴えている時にまずその声を聴く事が最優先で、その態度を嘲笑したり遠巻きに眺めるだけでコソコソ言ったりしていないか気をつけようと今作を観て思った。
ジャンヌ・ダルクを取り囲む人たちを観てそう思った。
自分は言った言わないではなく、伝える伝わるコミュニケーションを大切にして、受け取る側の時は相手が何を伝えたいのか汲み取る努力を怠ってはいけないなと。


フランスの映画を観ていて楽しいのは何といっても地名。
今作でもブルゴーニュ!ロレーヌ!とワインに結びつく地名が登場するたび、テンションが上がってしまう。
今日は「お誕生日おめでとう」とジャンヌ・ダルクを祝う事を口実にワインを飲もうと思っている。

やっぱりどうしても、酒神様に擦り寄りがちなのだ。
むぅ

むぅ