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革命児サパタのodyssのレビュー・感想・評価

革命児サパタ(1952年製作の映画)
4.0
【途上国の困難】

BS録画にて。

20世紀初頭のメキシコで、革命派が独裁者を倒したまでは良かったけれど、新たな政権を発足させた政治家は軍部を押さえることでできず、国内の混乱は収まらず・・・

そんな中で、既得権益を持つ支配層に対して闘い続けた実在の人物を描いています。
ただし、映画に描かれたサパタと実在のサパタは同じではないようで、この映画はかなりフィクションが加わっています。

しかしそうであるからこそ、メキシコのような途上国で革命を成し遂げることの困難さが印象的に、なおかつ効果的に描かれている。
いったん革命を成し遂げてもそれで万事がうまくいくようになるわけではなく、軍部の介入や革命派内部の主導権争いや腐敗など、次から次へと色々な問題が起こるものである、という真実を分かりやすく提示することに本作は成功しているのです。
こんにちのアフリカでも類似した例は見られるでしょう。

マーロン・ブランドの独特の風貌が生きている。
また、繰り返しの技法がうまく使われているし、メキシコの庶民のひからびた表情も独特で、観客に強いインパクトを残すのです。
モノクロであることも、この映画では効果的。

エリア・カザンの佳作と言えましょう。
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