はる

幸福のスイッチのはるのレビュー・感想・評価

幸福のスイッチ(2006年製作の映画)
3.4
上野樹里演じる怜はイラストレーター。
作品にこだわりすぎるあまり、上司やクライアントの指示に従うことが出来なくて会社を辞めます。
そんな怜が実家、和歌山県田辺市の電器店を手伝う事で、お客さんとのつながりを体験していく物語です。

この電器店「イナデン」の手書きのお客様台帳が素敵でした。
購入履歴の他に家族構成などの情報も小まめに記入していて、例えば「フィルターを交換したい」と電話をすれば、わざわざ型番を伝えなくてもちゃんと正しいフィルターを持ってきてくれます。家電音痴な私にはうらやましい限りです。

だけどこの町にも大手量販店がオープンし、お客さんがそちらに流れ始めていました。怜は父(沢田研二)に効率化を求めますが、頑固な父の経営方針は変わらず「お客様第一」
常に仏頂面の怜がどう変わっていくかが見どころです。


最近はお客様第一とうたいながら、不祥事を起こす企業もチラホラ。これは究極のお客様第一が見られます。
昔はイナデンのようなお店が町の治安や福祉にも貢献していたんでしょう。でもこの商売を子の代が引き継ぐのは難しそう。
見方を変えればブラックとか、パワハラ、カスハラと言われかねない。
複雑な感情が残りました。

監督・脚本の安田真奈は大手家電メーカーや電器店に勤めた経験があるそうです。主要キャストに関西出身者を置いているので、自然な関西弁が良いです。
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