れいゆ

マイ・プライベート・アイダホのれいゆのレビュー・感想・評価

4.3
俺はスコットのことを薄情者だとは思わないし最低だともそこの浅いやつだとも全く思わない。こういうことは現代日本でも、例えば小学校のときは仲良くしていたけど中学になり片方は私立に片方は地元に残り感覚が変わって疎遠になるような、そんな関係に似ている。ただスコットは最後まで淋しいやつだった。しかし、キアヌとリヴァー・フェニックスの友情が強固であることもある種皮肉に感じてしまう。

無駄のない100分間、どのシークエンスをとってもこの映画には必要不可欠に感じる、最後埋め込まれてた魚の走流のショットは監督が堕落しきった彼らに与えた大きな希望なのだろう。そしてアイダホの道の表象とリヴァー・フェニックスがつぶやくあの言葉、道路はどこまでも続きどこかへ帰ってくる。それを表すかのようにこの映画はアイダホの道で始まり道で終わる。道と人の円環を直線で感じるとてもいい映画だった。

物語のジェンダー性を語るには無知すぎるがこのストーリー自体は割と性がコモンな映画とは逆転しているように感じた。娼婦ではなく娼年の堕落を描き、少年が行きずりの恋に落ちるのは感覚的には逆なのだが。常にペニスを意識しある種の去勢不安が付き纏う少年がミュージシャンになりたいと吐露するシーンは心に残る。
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