揺籠ふぃるす

新ドラキュラ/悪魔の儀式の揺籠ふぃるすのレビュー・感想・評価

新ドラキュラ/悪魔の儀式(1973年製作の映画)
4.0
ハマードラキュラマラソン
第8作/全9作品+番外1作品

カッシング教授続投4作目
リー様続投7作目
ドラキュラ引退作品
シリーズ通算8作目

前作より2年後、1974年が舞台。

怪しげな儀式を行うカルト教団に潜入した捜査官が、命懸けで持ち帰ったマイクロフィルムにより、5人の参加者が割れるはずだった。
いづれも政財界、軍部、学界の権威、しかし5枚目の写真には、誰も写っていなかった。

そして、前作から続投の警部の勧めでカッシング教授を招聘し、72年より更生し助手となったジェシカ、皆で捜査に乗り出す。

果たして真の黒幕とは――。


スパイアクション meets ゴシックホラー。新基軸ヘ向けてチャレンジ現代版2作目。

タイトルバックからリー様のシルエットが、徐々にロンドンの街並みに被さっていく感じが、2年の歳月をかけて裏で暗躍し支配していく様で良かった。

死と蘇生を繰り返すことに倦んだリー様が、終の安息(final peace)を求め強化された黒死病(ペスト)をバラ撒き世界を滅亡させようとする所も憂いを含んで良い。

黒死病を運んでくるのは、吸血鬼であるという民間伝承を取り入れている所も嬉しい。
『ノスフェラトゥ(1922)』が頭をよぎる。
家に疫病や厄災をもたらす節分の鬼に似たような物と個人的に解釈している。

自身も演じたホームズよろしくオカルト推理を披露するカッシング教授も格好良い。

そしてラスト山査子の冠を戴いて、胸を穿たれ果てるリー様に、キリストを見てしまう。

篠田真由美先生の『龍の黙示録』シリーズがこの解釈の吸血鬼サーガ。途中で読むの止まってしまっているけど。

ベラ様が夜に優雅に美しく現れ、リー様が紅い瞳を爛々と輝かせて、畏れを抱かすことでドラキュラ伯爵は、物語という世界で神格化したのではないかと、リー様の引退作に合わせ思った次第です。
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