matchypotter

男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.8
ついにここまで来たか。来たよ、寅さん。

『男はつらいよ』シリーズ、第40作目。
“サラダ記念日”、俵万智の歌集をモチーフに。
俵万智は東京の町田でこれを書いたらしく、小田急沿線がよく歌に出てくる、とか。

いつもボーイフレンドに作った弁当の唐揚げをカレー味に変えたら美味しいと褒められたことで「今日は記念日だな」と思ったことが発端らしい。

なんか小さな幸せを記念日として自分の中で少し特別な日にするとか、とっても素敵だな。

ちょこちょこその歌が使われていて、哀愁というか、それとない優しい雰囲気が漂う40作目。

今回も夢物語はないが「〜“バカは死ななきゃ治らない”とは、俺のことだ」と語りから始まる。
まさかのついにオープニングで“いつメン”笹野武史、登場。そこで何してくれてんだ、笑う。

信州でバス停でバスを待ってると話しかけたおばあちゃんに気に入られて、あんた面白い人だから泊まるところがないならうちに来い、と。

おじいちゃんに先立たれたおばあちゃんちで2人で晩酌、、、すると、おばあちゃんが突然、暗い居間の奥に向かって手招きし始める。
おじいちゃんがたまにそこに出てくるんだ、と、、、寅さん、まさかの恐怖体験。

三田佳子と三田寛子。お淑やかな、まさに淑女、三田佳子。元気で明るい三田寛子。
おばあちゃんの具合が悪くなって入院した先の女医、三田佳子。彼女もまた夫に先立たれている未亡人。

あまり深入りせずにいつものだんご屋に凱旋。
そこの茶の間でその旅のエピソードを語る寅さん、やっぱりこの風景がとても好き。

でも今回は何でかあんまり多くを語らない寅さん、、、“早稲田”。

寅さん、まさかの、早稲田でブレイク、なんだそれ。“Industrial Revolution”の講義にレボリューションを巻き起こす、さすが。

三田佳子の女性としての仕事と再婚や、みつおの進学。
人それぞれの人生の節目節目の悩みや葛藤、迷い。

何が良いかなんて、何を選べば幸せかなんて、その時はわからないもんで。
そんなことを考えてる間にも、周りは変わり、時間は進む。

そんな焦りや不安。
そこにスッと入ってきて、適度にかき混ぜて、自分も巻き込まれて、一緒に悩んで、、、消えていく。

少し前からのみつおとのちょっもしたやりとりも良い。

「何で勉強するのか?って?生きてれば色々ぶち当たるだろ?俺みたいに勉強してないやつは、サイコロ振って出た目で決めるか、その時の気分でとか。だけど、勉強してればその時一生懸命考えれるだろ?だから勉強するんだよ」

当たり前のように思える言葉も寅さんが言うんだからなんだか沁みる。

あのおばあちゃんの危篤の急報に、信州まで駆けつける寅さんの義理人情。普通ならかける言葉も見つからないシチュエーションでも、しっかり寄り添う寅さん。

寅さん、あんたは“死ななきゃ治らないバカ”ではないよ、ホントに。

“寅さんが「この味いいね」と言ったから、師走六日はサラダ記念日”。

そして、最後も笹野武史。
今日も結構、けっこうネコ灰だらけ、お尻の周りはクソだらけ。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


F:2255
M:1480
matchypotter

matchypotter