kuu

サザエさんの婚約旅行のkuuのレビュー・感想・評価

サザエさんの婚約旅行(1958年製作の映画)
3.5
『サザエさんの婚約旅行』
製作年 1958年。上映時間 104分。 
『サザエさんの青春』につづくサザエさんシリーズの第四作。
長谷川町子の漫画を、笠原良三が脚色し、青柳信雄が監督、西垣六郎が撮影した。
出演者は第一作からお馴染の江利チエミ・松島トモ子・藤原釜足・清川虹子のメンバーに、花菱アチャコ・浪花千栄子のコンビが加わり、また小泉博・山田真二・安西郷子らも顔を揃える。

ゆりあんレトリィバァ 昭和の女優ネタを思い出してしまう。。。

婚約者で、東宝商事の九州博多支社へ長期出張中のマスオさん(エエ~マスオさん男前やん小泉博って俳優さん)から、仕事の都合で上京できないとの手紙をもらったサザエさん(実写版なら一番にあってるかな江利チエミは)は、周囲も心配するほどの落ち込みよう。
たまたま祖父の33回忌の連絡を受けていた波平(藤原釜足)は、これ幸いとばかり、サザエさんと、夏休み中のカツオを、自分の代理として、北九州の若松に住む兄(坂東蓑助)の家に行かせることにする。
サザエさんは、マスオさんの住む博多の近くに行けるとあって、もうウキウキソワソワ。
北九州若松(嗚呼懐かしや)の伯父の家で大阪の叔母(浪花千栄子)と久々に出会ったサザエさんは、そのお転婆振りをきつくたしためられることになる。
しかし、マスオさんが来てくれたので、もう気分は晴れやかになったサザエさん、カツオも同伴で、長崎、雲仙、佐世保、博多と観光旅行してまわる。
しかし、長崎のグラバー邸で出会った、マスオさんの知り合いの宝塚女優、悦子(安西郷子)が凄い美人なので、気掛かりなサザエさんだった。
さらに、近々、マスオさんが大阪へ転勤すると聞いたサザエさん、東京へ帰る電車の途中で大阪に降り、叔母の家である料亭に向い、行儀見習いのため、住み込ませてくれと頼むのだった。
叔母の家には、行儀の良い長女のユリ子(環三千世)、東大受験勉強中の三男ノリ吉(頭師正明)、次女タマ子(竹野マリ)、そして気の弱い亭主の叔父(花菱アチャコ)が住んでいた。
ある日、サザエさんを大阪見物に連れ出した叔父は、偶然にも、若い男性とデートしている最中のユリ子を発見してしまう。
家でのおしとやかな態度とはあまりにかけ離れた娘の姿を知った叔父は、家で叔母と一緒にこんこんとユリ子を説教するが、ユリ子の方は、松原君(山田真二)とは愛しあっている仲であり、結婚したいと云い出す。
それを聞いていたサザエさんは、同じ恋する乙女同士としてユリ子の味方になろうとするのだが。。。

江利チエミ主演の実写版『サザエさん』シリーズの4作目。
この回からカラーワイドになり、製作も宝塚映画に変わったそうです。
地方の美しい情景が観光映画風に登場し、いまでも楽しめる趣になってた。
なんでもこの回から、ステルスマーケティングも強くなって、前シーズンまで山高産業に勤めとったずのマスオさんは、ヘッドハンティングされたのか東宝商事という別会社勤務に変わっており、昨中、博多宝塚劇場(映画館)などがわざとらしく映し出されたりしてた。
後半は、宝塚映画らしく、大阪の芸人さんや宝塚の舞台が登場して華やかやった。
1作目で知り合い、すぐに愛しあうようになったサザエさん♥️マスオさん。
しかし、相も変わらず4作目でもまだ婚約中。
結婚には至っていない。
サザエさんのマスオさんへのひた向きな愛情と、その裏返しであるマスオさんに近づく美女たちへの嫉妬心とが微笑ましい。
漫画やアニメのマスオさんに見慣れてるし、違和感すらあるかな。
花菱アチャコって芸人さんは、1作目でも作家の先生として登場しているけど、地元で作られた作品らしく、より伸びやかに演じているように見えたかな(モノの本によると当時、江利チエミもアチャコ同様、吉本興業に所属していたらしい)。
少し前田舎に行ったらあったオロナミンCの看板の大村崑や佐々十郎?といった顔ぶれも登場している。
若い恋人どうしを演じる環三千世と山田真二なども、この当時の東宝作品にはお馴染みだった人たちやそうです。
江利チエミはコミカルなキャラを持ったジャズ歌手やし、妄想シーンで色んなシチュエーションを利用して歌う彼女はかなりよかったし、得意気にみえたし、それに恥じない巧さ。
安西鄕子(Wikipediaに載ってる写真かなりスタイリッシュで可愛い)って女優さんが恋のライバル役として登場してるが、宝塚のスターという設定。
強敵だけにサザエさんの妄想は活発に働く。
ちなみにwikiによると、彼女自身は宝塚出身ではなく、OSK(大阪松竹歌劇団)出身だそうだ。
のりおという東京磯野家の居候はマンガやアニメでのノリスケの弟かな。
第一作ではノリスケ役には仲代達矢を起用してたしかし、二回作以降は藤木悠ののノリオにバトンタッチしているなんでやろか?。
今回は大阪に住むのりおの両親、弟妹も登場し活躍する。
40歳の若さでこの世を去った環三千世(「小早川家の秋」)もwikiによると宝塚出身者で、ノリオの妹役で出演して、彼女の結婚物語が終盤のテーマになっている。
サザエさんはアニメで育ったし実写は多少の違和感があったけど、今は亡き大スター達のコミカルな演技に酔ってアッちゅうまに嵌まり込んでしまう楽しい作品でした。
前シーズンを見ていたらより良く面白い作品やとは思いますが、今作品を単品としても十分楽しめると思います。
kuu

kuu