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暴風圏のtunicのレビュー・感想・評価

暴風圏(1959年製作の映画)
5.0
坂下で起きた交通事故。野次馬や救急車が現場に集まるのを坂上から定点のワンカットで捉えるオープニングが見事。いい映画がはじまりそうと期待してたら、喪に服すのに飽きたらしい遺族の叶順子が南無阿弥陀仏をピアノ歌唱。ふざけてんの?って訳でもなく。

そっからはお嬢さん社長と秘書の菅原謙二による喧嘩しながらも仲良いラブコメ調に。そして本作のタイトルが暴風圏だと忘れたころ嵐の中ダンプにダイナマイト積んでダム現場へ…いきなり恐怖の報酬?嫉妬に狂った高松英郎が追ってきて銃を突きつけたと思ったら菅原謙二に柔道で倒されるわでもう忙しー!

田宮二郎と金田一敦子がすぐ職場でいちゃついたり、掃除婦の岡崎夏子が会話中にドア開けて邪魔したり、みたいな無駄シーンの連続。なのにアプレの乗っ取り屋の高松英郎が急に戦争中のトラウマ話したり菅原謙二がこれが俺たちの実存主義だ!とか言い出したり。ザ・雑で楽しい大映スタイルを堪能した。

2020.9.4
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