Makiko

旅のMakikoのレビュー・感想・評価

(1958年製作の映画)
3.9
『王様と私』の二人が主演する真面目な映画。監督はロシア出身(のちに亡命)のアナトール・リトヴァクなので東側の描写にもある程度の信頼は置ける。見応えあり。

ハンガリー動乱の最中、国境付近で足止めを食らう外国人の一向。プロットの肝となっているのは、彼らを管轄するソ連軍の少佐、負傷した革命派の兵士、それを匿う英国婦人の三角関係だが、ユル・ブリンナーもデボラ・カーも抑えた演技がとても上手なので安っぽくならない。

「お国柄」的なカリカチュアライズはあるが、異常事態における集団心理を描くなど娯楽に終わらない重々しさがある。緊迫感と情緒が上手い具合に混じり合って観客を飽きさせない。

ロケ撮影が多いのも真実味が感じられて良い。

アヌーク・エーメの存在感!!
ハンガリー人兵士たちの無言の眼差しが伏線となり、この上なく綺麗なピリオドを打つ。拍手してしまった。
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