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ALWAYS 三丁目の夕日のBaadのレビュー・感想・評価

ALWAYS 三丁目の夕日(2005年製作の映画)
3.0
山ほど予備知識を仕入れてからの鑑賞。

先にこの映画を見た昭和20年代生まれの夫から既に聞かされてはいたのだけれど、その言葉どおり、予想に反してCGや映像による昭和30年代の再現度は今一で少し違和感があった。

もう一つ意外なことに『ジュブナイル』と同じく、過去は未来を造るものというテーマがピンと通っていて、メッセージ性が明確なところに好感が持てた。山崎監督はストーリーテリングの方で確実にある鉱脈をつかんだなと思った。

映像に関して具体的にいうと最初の部分の吉岡くんの部屋に入っていく手持ちカメラの映像が今ひとつ。何であんな撮り方をするのか理解できなかった。

肝心の建築中の東京タワーの質感も今ひとつ。

文学書が大量に出版されたあの時代に雑誌以外の書棚のハードカバーの本が
全部古びているのはやっぱ変でしょ。カラー映像なんだからもっとうまく復元してよ・・・などなど。

そんなこんなで、肝心の得意分野があんまりうまく生かされていない感じがするのはやはり30年代を生きていなかったことがハンデになっているのだろう。

一方で、当時は一般的でもいまは心理的にちょっとはばかられるようなエピソードを選んで暖かみのある物語世界を構成してハンデをうまくカバーしているところに意外性があって面白かった。

そして、やはりさすがというべきか、ところどころ、本当にこれ映画館で見たかったのよ、というようなシーンがあって楽しかった。

本来力量のある監督なのだから、映像に関しては観客はもっと厳しいことを要求したほうがいいのでは?と思ったので、評価は少し辛目です。

というようなことを、劇場鑑賞直後に書いたのですが、これは古美術を復元するときなどに用いる、少し古びた現状に近い形で復元するという手法を応用して使っているらしいと後で知りました。そのアイデア自体かなり筋が悪いと思い、悪い方に感心した記憶があります。
技術があっても使い方を間違えるとちょっと困ります。
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