日本の倫理観からすると、なかなかストーリーについて行くのが大変だが、イヴ、ロミーともに魅力的な演技で魅せてくれる作品。
特にイヴの演じた情けないおっさんは沸点が低い破綻型で面白い。
全員結婚はしていないので、どっちとくっつくかフラフラと言うのは許容範囲なのだが、一応付き合っていても「愛人がいるのは良いが…」などの台詞や、その行動に共感はできない。
特にロミー演じるヒロインは子供までいる母親なのに、今一つ行動原理が理解できずに感情移入が出来ない。
解説などには「強い女性」などと書いてあるのだが、どちらかと言うと優柔不断でわがままって感じだ。
脚本が上手いのは反目すべき男二人に友情が芽生えるという所か。エンディングもその設定のおかげでかなり丸い感じに収まっていて気持ちいい。
しかしその設定以外は普通の三角関係物、と言うか、チープなソープオペラ的で、おまけにおフランスの倫理観が邪魔してどうにも物語に入っていけない。
オープニングのいきなり「〇変の日本」で頭の文字が読めないストレスを噛みしめ、あとはどっぷりと昼メロの世界にハマるとそれなりな作品。
余談。
ダヴィッドの職業が漫画家。
フランス・ベルギーなどを中心とした地域の漫画のことをバンド・デシネというらしい。
アメコミ、漫画と並んで世界3大コミック産業だそうだ。
ダヴィッドのスタジオの壁に貼ってあった絵も、カッコイイ物が多かったが、最後に書いていた女性のイラストが超クール。
まるでメビウスが描きそうな構図とアメコミ長の色彩が印象深い。
誰の絵だろう?