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ぼくはうみがみたくなりましたのtheocatsのレビュー・感想・評価

4.0
ネタバレ
ヒューマンドラマかつ小さなロードムービー

自閉症を知らしめることのみに重点をおかず、”旅”の要素と旅先でのエピソードを加えたことで娯楽映画としても成立。佳品

自閉症役主演男子と看護学生女子の唐突なドライブという展開に「大丈夫かい・・・」と目を瞠ると共に期待感が少し高まる。しかも黄色のワンボックスワゴンというセンスも良。

そして、キーマンとして元園長役秋野太作さん夫婦が出てきたことでこちらも見知った顔と安堵感。期待に違わぬユーモアあふれるどっしり演技。本作における秋野さんの存在感と元園長としての意義は大きかった。

旅館における他の男親からの心無い暴言は実体験として脚本に盛り込まれたものと推察されるが、国民全てに各障害者の有りようが周知されたとしても、心からの思いやりが醸成されない限り、ああいったネガティブな言動が絶えることはないのだろう。

その後の秋野さん入院騒ぎと、”黄色いボート”で三崎から城ケ島までの渡し船。これもまたロードムービーの変形的な構成要素としてポジティブに作用。

エンディングも特別奇をてらわないオーソドックスさ。後味も良いものでした。

002005
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