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告発の行方のYYamadaのレビュー・感想・評価

告発の行方(1988年製作の映画)
3.4
【法廷映画のススメ】
『告発の行方』(1988年)
〈フィクション/ アメリカ〉

◆法廷の争点
犯行現場にて、女性へのレイプの煽り唆した男たちを暴行教唆の罪で問えるか
・「強姦」「和姦」どちらであったか?
・暴行教唆した男たちを特定出来るか?

〈見処〉
①セカンドレイプまで生々しい、
 衝撃の社会派ドラマ
・『告発の行方』(原題:「The Accused」=「刑事被告人」)は、1988年制作のサスペンス映画。
・本作の舞台は、アメリカのとある場末の酒場。3人の男たちからレイプされ、病院に搬送された若き女性サラ(ジョディ・フォスター)。地方検事補キャサリン(ケリー・マクギリス)は、この事件の捜査を担当することになる。
・しかしながら加害者たちは合意の上での行為(和姦)を主張、サラに有利な証拠も何1つなく、やがて彼女がマリファナを服用していた事が発覚、裁判は絶対不利となっていく…。
・「アメリカで6分に一回レイプ事件が発生」「うち4件に1件は複数犯による犯行である」。本作は、エンドロールに流れる衝撃的なメッセージが示すとおり、30年以上前からアメリカで深刻な社会問題となっていたレイプにスポットを当てた問題作。
・サラ役を演じたジョディ・フォスターは、第61回アカデミー賞にて、彼女にとって最初の主演女優賞を獲得している。

②誰もが敬遠する配役
・アンディ・マクダウェルをサラ役に想定して企画化された本作のキャスティングに難航を極めたようだ。
・第2候補陣であったデミ・ムーア、ブルック・シールズ、ジェニファー・コネリー、デブラ・ウィンガーらはいずれも辞退。第3候補陣のメグ・ライアン、ジェニファー・ビールズ、ユマ・サーマン、マドンナ、ダイアン・レイン、ブリジット・フォンダらも見送られ、最終的に起用された第4候補のジョディ・フォスターは当初は、セクシーさが不十分と評価されていたそうだ。
・また、女性検事補キャサリン役もジェーン・フォンダ、サラ・ジェシカ・パーカー、ミッシェル・ファイファー、デブラ・ウィンガーらの辞退を受け、過去に性的暴行被害のトラウマを公表するケリー・マクギリスが抜擢された。
・ともに、ずっと後年に同性愛者であることをカミング・アウトしているジョディ・フォスターとケリー・マクギリス。女性に対する性暴力を発端にした「#MeToo運動」より遥かに遡ること30年前に、本作出演という大きな決断をしていたことになる。

③結び…本作の見処は?
○: 登場人物の誰1人として、共感出来るキャラクターがおらず、悶々とした気持ちにさせられる作品。犯行に及んだ男性たちは当然として、被害者サラの軽率な行動や、最後まで証人尋問に躊躇した大学生にも、軽蔑感を感じる…ということは、社会問題の提起に本作は成功したと言えるのだろう。
○:「ハリウッド女優はここまでやらなければならないのか…」。 共演の男性陣全員が撮影前にナーバスになったという犯行現場の場面によるジョディ・フォスターの熱演は、公開当時に日本でも話題になった伝説のシーン。
▲: 望みとおりの判決が出たエンディングにも爽快感はない。
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