Kota

スーパー!のKotaのレビュー・感想・評価

スーパー!(2010年製作の映画)
3.8
“これはコマとコマの間で起きている事なのね。”

あなたにとってスーパーマンとは?アメコミや映画にでてくるスーパーマンは無敵で正義の味方。悪を倒しても血は出ないし、仲間はもちろん簡単に死なない。そんな常識を根底から皮肉った作品。ホラーを撮りまくっているジェームズガン監督だけあって、グロ描写はさすが。メッセージ性も含めてかなり好きな映画。

冴えない中年男性(レインウィルソン)は唯一の幸せだった妻までも、麻薬組織のボス(ケビンベーコン)に奪われる。そんな人生どん底の時に神の啓示を受けたと錯覚し、ヒーローとなり悪を断つ事に。その名はクリムゾンボルト。スーツは縫い目が丸見え武器はレンチ、マスクをしているが正体はバレバレ。そして相棒のボルティとして登場するのがコミックショップの店員(エレンペイジ)。着替え中にそのまま出動する。

“キックアス”とよく似ているが、結局あれはヒーロー物。この映画はどちらかというとヒューマンやバイオレンスに分類されると思う。結局現実世界では超能力なんてないし、人は血を流して死ぬし、ヒーローと相棒は欲望のままに男女の関係にもなるし、終わりはいとも簡単に醜く訪れる。ポップなポスターとは裏腹に割と重いテーマ。「見えてるものだけが真実ではない」というセリフの通り、私達が映画やコミックで見ているものはほんの一部であり、コマとコマの間には実は残酷な現実があるということ。

後にこの監督が“ガーディアンズオブギャラクシー”を撮り、大ヒットしたのが面白い。結局はみんなが求めるコマを並べて別世界に連れていくのが映画やコミックの存在価値なんだよね。この映画はそれに気づかせてくれた。あとエレンペイジ可愛かった。
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