あーさん

WATARIDORIのあーさんのレビュー・感想・評価

WATARIDORI(2001年製作の映画)
4.0
”LE PEUPLE MIGRATEUR”
〜WATARIDORI〜
ディレクターズカット版

ジャック・ペラン監督、フランスのネイチャー・ドキュメンタリーである。この方多才で、俳優としてあの”ニューシネマパラダイス”の大人になったトト役で出演していたりする。監督としてはおなじみの”OCEANS”や”シーズンズ”なども手がけているのでいずれかを目にした方は多いと思う。

しばしば動物のドキュメンタリーものを観ていると、どうやって撮影したのわからないような映像が出てくるが、今作も飛んでいる鳥達と並走して軽飛行機から撮影した物凄い映像を観ることができる。それだけでもドキドキ、ワクワク!
鳥の種類や飛距離、ルートなどが詳しくクレジットされるので地球儀片手にふむふむとうなずきながらの鑑賞。

あ〜鳥になってどこか遠くに飛んで行きたいなぁ…なんて思ったことは誰しも一度はあると思われるがなかなかどうして、鳥には鳥の大変さがあるんだなと思い至る。
渡り鳥達は何千キロという距離を太陽や星、磁場など自然のコンパスを頼りに目的地を目指して飛ぶのだ。その中には力尽きてしまう鳥もいる。銃で撃たれたり、工場に紛れ込んでオイルにまみれてしまったり、仲間とはぐれたり…。様々なことを乗り越えた鳥だけが生き残れるのだ。これがまさに自然淘汰なのだろう。。

ユーモラスなシーンも所々。
あまりにも必死の求愛のダンス、クチバシをカチカチ鳴らし合う鳥、群れが驚いて一斉に同じ動きをしたりするシーンには思わず吹き出してしまう。

翼を怪我して飛べなくなったところをカニに捉えられる鳥、子どもを失ったペンギンなどのシリアスなシークエンスには弱肉強食、食物連鎖という言葉が浮かぶ。

皆、一生懸命生きている。


何も考えたくない時、
何となく何かを観たい時、
鳥の飛んでいく様を大自然や世界遺産、俯瞰する街並みなどをバックに眺めているうちにスーッと体の力が抜けていくのを感じる。
自分もまた地球の一部なんだなと改めて感じる瞬間。。

ああ、やはり自然は良いな。
コンクリートジャングルに疲れたら、山へ行こう。海の音を聞こう。川のそばを歩こう。森の空気を感じよう。
一生懸命生きている生命の営みを
見ていると、ほぐれていく心。
うまくいかない時も深呼吸して、大きな気持ちでやり過ごしていこう。歩みを止めさえしなければ、そのうち気づいたら長いトンネルの出口も見えてくるはずだから。
季節は巡り、また戻る。
渡り鳥が春を運んでくるように。

元気出た!
あーさん

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