らんらん

どっこい生きてるのらんらんのレビュー・感想・評価

どっこい生きてる(1951年製作の映画)
4.0
朝の薄暗いうちから駆け足で同じ方向へ向かう人々、その先は職業安定所
多くの人でごった返しているが日雇いですらありつける人は限られている
妻と子供2人を抱える毛利(河原崎長十郎)もそんなニコヨン(240円、当時の日雇いの日給からきた呼び名らしい)の一人である、、、

昔の映画それなりに見てきてるので死語であるニコヨンはかろうじて聞いたことあります
そしてタイトルにもなっている「どっこい」もまた死語ですねー

ところがどっこい、夢じゃありません!現実です!これが現実!

まさにこんなお話だった
戦後の混乱期、みんなが貧しくて、毛利さん一家も落ちぶれまくってあばら屋に住んでいる
そんなあばら屋ですら強制退去させられる、奥さん子供は田舎に帰ることに
で、このまま日雇いじゃ浮かびあがれないので定職に就こうと面接を受けて見事合格!
しかし月給なのでそれまで食いつなぐお金がない
貧乏仲間の木村功や飯田蝶子らの助けでカンパを貰い感涙するも
その夜浮かれて悪酔い、案の定起きた時にはお金がスられていて、ションボリ職場に向かうも内定を得ていたはずが事情が変わったとかで断られる
金も住むとこもないし仲間の悪い誘いに乗って泥棒みたいなことにまで手を出しちゃう
さらには田舎に帰ったはずの妻子が帰ってくる、あちらでも生活は苦しく居場所はなかったのだ
職もなく住むところもなく、しかも妻子を抱えて、、、つまり詰みです
美味しいご馳走を食べて子供を遊園地に連れて行ってー、、、

これが現実言われてもなかなかに信じられないですよねー
なんでこんなに貧しいの?しかもみんながみんな!
まるで亡者の群れのように職業安定所に蠢く人々、それですらその日食べていけるお金しか貰えない、いつまで経ってもその日暮らしから抜け出すことができない

それでも、どっこい生きてるんですよ!

当時の経済はどうなってんだろうねー、政府は何をしてるのよ
でも何とか出来るならやってるだろうし、何とも出来ないんでしょうねー
現代でもホームレスはいるし、ネカフェ難民なんてのもいるし、こういう状態から抜け出すのは容易じゃないですねー、そんなことを考えちゃいました

出演者について
メインとなるのは河原崎長十郎、河原崎しづ江、中村翫右衛門、あとは木村功に飯田蝶子
前進座の3名は馴染みはないけど純粋に演技が上手い!木村功と飯田蝶子は笑顔が良かった、特に飯田蝶子のたくましいババアぶりが素晴らしい
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