佐藤克巳

薔薇合戦の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

薔薇合戦(1950年製作の映画)
4.0
東宝争議長期化と東宝の低迷、新東宝分裂と落ち着いた環境が望めずジプシー状態であった成瀬巳喜男監督は、本作に於いては成瀬調をかなぐり捨て、古巣松竹の通俗映画を無難にこなし佳作とした。陰謀も辞さ無い強かさを持ちパトロン進藤英太郎の後押しで化粧品会社社長に就任辣腕を振う長女三宅邦子、長女を助け従順に社員永田光男と結婚させられた次女若山セツ子、映画雑誌記者で自立し同業記者大坂志郎と試験結婚した三女桂木洋子の三姉妹は、これら男達の思惑と裏切り、スキャンダル暴露に挫折し、三人寄り添い再出発を誓う迄を波瀾万丈に展開。但し、宣伝部員に引き抜いた鶴田浩二と配下の青山宏は三姉妹を健気に支え、桂木から連絡を受けた鶴田は、札幌支店に左遷された夫との交渉に向かう列車に乗った若山を激励した。
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