セガール幹事長代理

讃歌のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

讃歌(1972年製作の映画)
5.0
全盲である三味線の天才の少女と、彼女に仕える世話係の青年が織り成す究極のSM物語。

青年にとってのご褒美とは、御主人様との「性行為」でなく「奉仕」そのものなので(性行為その他準ずる行為は奉仕に含まれる)快楽の無限輪廻が止まるところを知らない。
これは戦争を知らない若い子には理解できないと思うけど、飲みの席で「あたしMかも」とか「俺Sって言われるんだよねえ」とか宣うレベルじゃ今作を楽しむことはできない。あれは「皆の前でこういうこと言えちゃうアタシは空気を読める女」という毒にも薬にもならない糞みたいな承認欲求以外の何物でもないからである。

ここが良かったとか書こうと思えばいくらでも書けるけど、一番ぐっと来たのは女がデレ出してから男の心が奉仕モード→菩薩モードに変化し、それを女が察して筆舌に尽くしがたい孤独を味わい出した瞬間だ。
長い長い前戯から得られる彼女が期待した絶頂は大海の一粟どころか、青天の霹靂とも言うべきおあずけへと流転したのだ。
これを視線一つで表現できてしまうのは演技力の賜物という他ない。ビクンビクンしました。天晴です。

私が死んだら棺桶に入れてほしい作品の一つになりました。ありがとう。

トイレの床を畳に変えようかと思ってる人におすすめ。