滝和也

緋牡丹博徒 二代目襲名の滝和也のレビュー・感想・評価

緋牡丹博徒 二代目襲名(1969年製作の映画)
3.6
鉄路に咲く
緋牡丹一輪…。
故郷九州を舞台に
緋牡丹のお竜が
道に外れた外道を討つ!

決闘!遠賀川!
荒木田さん!死んで貰いますばい!

「緋牡丹博徒 二代目襲名」

故郷熊本に一路向かうお竜(藤純子)、不死身の富士松(待田京介)。筑豊炭田の盛況に湧く九州。石炭輸送のため、筑豊本線敷設の大役を旧知の叔父から矢野組再興の事業として引き継いだお竜は、利権を狙う荒木田組、仕事を奪われる事になる川船頭らとの戦いを余儀なくされる…。

今作も藤純子の美貌と気風の良い啖呵、そして侠客としての仁義に涙すると言うお馴染みの緋牡丹博徒シリーズ第4弾。今作は趣向を変え、旅からお竜が戻り、自らの大望のため、筋目を通すと言う展開です。旅で出会った方に恩義を感じ、働くと言う展開が続きましたからね。

監督も鶴田浩二の博徒シリーズの小沢監督に変わっており、演出、撮影は比較的オーソドックスな感じ。あまり特徴がないのかな…。様式美や格調では山下、加藤程でなく、外連味では鈴木監督程でない感じでしょうか…。また途中まで三つ巴と言う展開のため、やや前半ゴチャついていて、スンナリと行かないのは残念。

割を食ったのは、今作の特別出演、高倉健さん…。いつ出てくるのと。かなり待ちましたよ、健さん!ただ出てきたからには、持ってきますよ〜。そこから健さんだけで2回敵の組に乗り込みますからね。ただその性で敵が間抜けに見えなくもないんですが…。それと長門裕之が初登場なんですが、呆気ないんですよね。コメディリリーフとして前半でますが…。勿体無い…。今回、若山富三郎が出てないんです!それも物足りない。熊虎親分の代打が長門裕之でしょう。

前半の三つ巴から、後半川船頭の頭が味方になりますが、この方中々泣かせてくれます。新しい時代をお竜と鉄道、丘蒸気にかけてくれますが、その和解シーンと最後が美しいですね。

また今作はラストが殴り込みでなく、遠賀川べりでの決闘になり、それは新しい。ただ5対5を喧嘩状で申し込むんですが、まぁ当然多勢に無勢になるのはご愛嬌ですよね。ヒーローやヒロインが多勢ってないですから。健さんが助っ人で来ますからね、百人力ですわ。ここも来るのがわかってて、早く早くとなり、よ!健さん!待ってました!になる訳です(笑) このラストでの健さんがまたかっこいいわ、お竜さんの乱れ髪が色っぽいわで見事ではあるんですが。

うーん、それでも前作までと比べ、新しいことをやろうとしていて、ちょっとガチャついている感じがしちゃいました。後半の盛り上がりは流石なんですけどね〜。

藤純子のお竜が23歳と名乗るシーンがあるんです(笑) ただホントに藤純子さんもこの年齢(笑) どれだけ巧くて、落ち着いていて、美しいんだと、驚愕です。昨日娘の寺島しのぶさんをTVで見たんですが…その差たるや。お綺麗だとは思いますが、藤純子様が凄すぎて…。

遂に点数が堕ちましたが、十分楽しめますし、最強ヒロインお竜はまだまだ続きます(^^) この先の最高傑作まで後もう少し。楽しみながら行きましょう(笑)
滝和也

滝和也