ショコラ

ピアノ・レッスンのショコラのレビュー・感想・評価

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
4.5
暗く淀んだ海と、波打ち際に置き去りにされたピアノ。

構図の美しさに心を奪われる。

言葉の代わりであり、魂の一部であるピアノと共に生きるエイダ。

理解のない冷たい夫よりも、粗野だが、気持ちが通じ合う孤独な中年男と恋に落ちていく女。

薄暗い、粗末な部屋で、息を潜めて愛を交わすふたり。

ハーヴェイ・カイテルの筋肉質の肉体が生々しい。

そして、大人の愛憎の世界を垣間見た、多感な少女フローラ。

彼女の嫉妬と戸惑いの姿に、共感と苛立ちをも感じた。

生理的な部分を含め、女性監督ならではの繊細で濃密な演出が冴える。

マイケル・ナイマンのメランコリックな旋律が忘れられない。
ショコラ

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