moviemania

デカローグのmoviemaniaのレビュー・感想・評価

デカローグ(1988年製作の映画)
3.8
クシシュトフ・キェシロフスキ脚本監督のポーランド映画(正確にはテレビドラマ?)。旧約聖書の『十戒』をモチーフにした10の物語。シンプルながら練り込まれたストーリー。その教訓がストレートに胸に刺さります。“映画”をみるというよりも“人生”をみるといった感覚の作品です。

【1.ある運命に関する物語】
『あなたは私の他になにものをも神としてはならない』
合理主義者の父、信仰心あつい伯母、その間で揺れ動く息子。信仰とは?を問う物語。純真無垢な子供のド直球の質問に、正しく答えられる大人なんているんだろうか。。

【2.ある選択に関する物語】
『あなたはあなたの神の名をみだりに唱えてはならない』
重病の夫、夫の友人の子供を身ごもった妻。夫の生死によって、子供を生むか堕胎するかを選択しようとする妻。医師が下した選択が正しかったのか否か、誰が答えられようか。。

【3.あるクリスマスイヴに関する物語】
『安息日を覚えてこれを聖とせよ』
家族で穏やかなクリスマスの夜を過ごす男の元に、かつての彼女からの電話。行方不明になったという彼女の夫を二人で探すことに。夫の嘘、彼女の嘘。全てを察する妻の寛容さよ。。

【4.ある父と娘に関する物語】
『あなたの父と母を敬え』
父娘の2人暮らし。亡き妻が残した手紙を娘に渡せぬまま時は過ぎたが、ある時娘はその手紙を開封する。秘密を知った娘と、父であろうとする男の心と心の対峙が切ない。。

【5.ある殺人に関する物語】
『あなたはなにものをも殺してはならない』
死刑廃止を語る若き弁護士が、仕事もせず街をぶらつき無軌道な行動を繰り返す若い男が起こした衝動殺人の弁護をすることに。下された死刑判決。法とは、人権とは、命の重さとは。。

【6.ある愛に関する物語】
『あなたは姦淫してはならない』
向かいの団地に住む女性に恋心を抱き毎夜彼女の部屋を覗く青年、それに気付き悪戯心が芽生えた女性。経験豊富な女性と無垢で純粋な青年。異なる愛がもたらす真実の愛。。

【7.ある告白に関する物語】
『あなたは盗みをしてはならない』
高校生の時に娘を生んだ女性。世間体から女性の母親の子供として申請し暮らしていた。数年が経ち女性に芽生え始めた母性。“母”としての彼女の取った行動とその結末に涙。。

【8.ある過去に関する物語】
『あなたは隣人について偽証してはならない』
倫理学を教える教授を訪ねてきた女性。学生に命の大切さ解く教授に、女性がある質問を投げ掛ける。そして明かされる過去。個々人の倫理観がもたらした出来事とその傷が今も痛々しい。。

【9.ある孤独に関する物語】
『あなたは他人の妻を取ってはならない』
性的不能の夫が妻に別れてもいいと告げる。愛は心の中にあるものと説く妻だが、一方で若い男と愛瀬を重ねる。それを知った夫は自暴自棄になる。心の孤独の苦しさが胸に刺さる。。

【10.ある希望に関する物語】
『あなたは隣人の家をむさぼってはならない』
父の死後に残された膨大な切手。それらに途方もない価値があると知った兄弟は未完のコレクションを完成させようとする。“モノ”への執着がもたらす疑心暗鬼と人間不信が失笑を誘う。。
moviemania

moviemania