Eyesworth

侍のEyesworthのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
4.9
【桜田門の功労者と犠牲者】

邦画の第一人者である岡本喜八監督が桜田門外の変を題材に侍の生き様を描いた1965年の傑作。

〈あらすじ〉
幕末。水戸藩士の星野監物を首領とする32人の浪人たちが集結し、登城する井伊直弼を暗殺しようと企てる。新納鶴千代は自分の出自も知らず孤児として育ち、水戸浪士を助けたことから暗殺に加わることになる…。

〈所感〉
岡本喜八監督作品初鑑賞。私は時代劇はおろか大河ドラマすら殆ど見たことない日本史オンチだが、この作品はとても見応えあって面白かった。とにかく桜田門外の変だけなのでストーリーが分かりやすい。己の忠義・信念のために他を蔑ろにする鶴千代の男の生き様が素晴らしい。三船敏郎も私からすれば一昔も二昔も前の俳優だがなんて二枚目だろう。
この作品が彼のフィルモグラフィーにおいてどのように位置づけられているかはわからないが、最初にこれを見てよかった。冒頭の鶴千代のアップからのタイトル『侍』が表示される演出がカッコ良い。あと、雪の桜田門での殺陣が美しい。キル・ビルvol.1のオマージュ元かと思った。構図、カメラワークが絶品で他の作品も見たくなった。
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